練習コラム    人生経験のない女の子に一生の伴侶を選ばせる残酷さ  

 
「おとうさん、わたし、この人と結婚します」は現代風。「おまえは、ここに嫁に行け」は前時代的。
 
 そのむかし、結婚は親がきめた相手とするのがふつうでした。今は自分で相手を探して、自分で結婚を決めるのがふつうとされています。
 
 では、たとえばあなたに高校を卒業したばかりの娘がいたとして、ある日、結婚したいと同じぐらいの年代の男を連れてきた。さあ。親としてどうしますか?
 
 結婚は個人のものなのだからと、よろこんで祝福する?
 
 いや、待って欲しい。
 
 まず、10代のいや20代になったとして人生経験の少ない娘に果たして、男を見極める目があるだろうか?
 
 そうなのだ。恐らくはない。
 
 だから首をかしげるような男を結婚する女の子は後を絶たない。
 
 妊娠、出産、離婚、シングルマザーなんて、流れはあまりによくある話だ。だからこそ、親の出番、周りの大人たちの出番である。
 
 なにしろ、むかしの結婚は親も含めた親戚一同が、はなしあって縁談をきめていたのだ。家のバランス、相手方の親族、経済状況。たくさんの大人の目が相手を見きわめていたのだ。
 
 結婚が個人のものとなったからと言って、そのシステムをすべて捨ててしまうのはあまりに無謀すぎるのではないだろうか。
 
 現代では結婚は個人のものだが、人生経験の少ない本人の二つの目だけで判断するにあまりに重すぎる決断なのではないだろうか?何しろ本人がその重さを理解していない。周りの大人の目を活用しなければ、幸福な結婚を引き当てるのは難しい。
 
 そこで提案したいのは、結婚のあいて候補は子どもがえらんでつれてくる。彼氏、彼女というやつだ。そのあいてを親や親戚の大人がしっかりと見極めるというやり方だ。
 
 もちろん、親が見て気に入らないといって無理やり引き剥がすような真似をすればロミジュリ効果(ロミオとジュリエットのように反対されるほど盛り上がる)で、家族と縁を切ってでも結婚するなんてことになって、大切な家族関係が壊れるかもしれない。
 
 だから、結婚したいなら、一年後◯◯(卒業、就職、試験合格)ができたらその時は改めて婚約を認めよう、とか、一定の期間をもうけるのが有効だ。
 
 その一年後には、お祝いで新婚旅行のお金をだそうとか、アパートの入居金を援助しようと言えば、子どもも納得するだろう。
 
 で、クズならたいてい、半年か、一年のうちに浮気するとか、仕事をやめて無職のままとか、そういうたぐいのボロが出る。
 
 そして子どもの盲目の恋愛もモードも一年も経てば落ち着いてもうすこし冷静にあいてを見ることができるようになるだろう。
 
 相手を見極めるために家族旅行に男を引っ張り出すのもいいかもしれない。
 
 数時間会っているだけでなく、数日間一緒にいれば取り繕いきれない。必ず素の部分が出る。親としても見きわめやすいだろう。
 
 もちろん、交際期間に妊娠されては困るので、高校生になったら親がコンドームをカートンで渡すぐらいの予防策は必要かもしれない。
 
 自由恋愛は素晴らしいと思う。しかし、昔の親や親戚、周りが決める結婚にもメリットがあった。たくさんの目と知恵で相手を選んだからだ。そしてそこから自由恋愛の現代と同じように多くの幸福な結婚も生まれていた。ならば、その良いとこ取りをできればもっと世の中から不幸な結婚が減るのではないだろうか。
 
 ちなみに、もし若いぼくが、ぼくのむすめと結婚したいと言ってやってきたら、絶対反対します。仕事も何してんだかわからない、そのくせ言うことだけは一人前以上、絶対ロクな人間には見えないし、実際、ロクデナシ。
 
 まぁ、ぼくにはむすめどころか、子どももいない、いや結婚すらしていませんけどね。 
 
 ウジムシでした。